離婚手続き

日本における離婚手続きは、協議離婚調停離婚審判離婚裁判離婚の4つの種類があります。

1協議離婚

協議離婚は、夫婦が離婚と親権について合意すれば、裁判所の関与もなく、離婚の理由も不要な最も早くて簡易な離婚手続きです。

協議離婚は、夫婦が離婚届出用紙に必要事項を記載して、双方署名をし、夫婦とは別の成人の2人に証人として記名、押印、住所、本籍地の記載してもらった離婚届を本籍地又は住民票のある住所の市区役所に届け出ることで離婚を成立させることができ、裁判所の関与無しで離婚を成立させることが出来る手続きです。

離婚と子の親権者を父母のどちらにするかについて合意が出来れば、協議離婚で離婚をすることが出来ます。

裁判所の関与のない手続きであるため、夫婦の一方が他方の署名を偽造して他方の知らない間に離婚届を提出し、離婚が成立してしまったとか、本心としては離婚したい気持ちはないのに、夫婦喧嘩で感情的になり、離婚届に記名押印してしまい、他方配偶者が市区役所に届け出てしまったなど、離婚意思がないのに離婚が成立してしまうことがあります。そのような弊害を防止するために、離婚届不受理申出の制度があります。この申し出をすると、他方が離婚届を提出しようとして、受理されず、勝手に協議離婚をすることが出来なくなります。

協議離婚の場合は、離婚届を提出するだけでは、離婚と親権しか決めることが出来ません。ですので、財産分与や養育費などの経済的条件については、別途話し合いをして、公証役場で公正証書を作成するなどして取り決めをする必要があります。

2調停離婚

調停離婚とは、家庭裁判所で調停員を介して話し合いをして、夫婦で合意に到達したら、裁判所で離婚を成立させる手続きです。

離婚調停が成立した後、裁判所が発行する離婚調停調書を必要事項を記載した離婚届と一緒に本籍地又は住所のある市区役所に提出します。離婚日は、離婚調停が成立した日で、市区役所に届け出した日ではありません。

調停離婚では、離婚と親権だけでなく、財産分与、慰謝料、養育費、年金分割、面会交流についても定めることが出来ます。財産分与、慰謝料および養育費について調停で合意すれば、支払いが滞った場合は、調停調書を使用して直ちに強制執行の申立をして、相手の給与等の差押えをして、調停合意どおりの支払いを得ることが出来ます。

3審判離婚

審判離婚は、調停離婚の延長線上にあるような手続きで、当事者間には合意が成立しているが何等かの理由で裁判所の決定の形にしたい場合に利用されることが多い手続きです。

例えば、調停で離婚を成立させるには、成立時に当事者が調停に出席することが必要なのですが、調停で話し合いがなされ、離婚や離婚条件など全て当事者間で同意が出来ているが、当事者が遠方に住んでいて、裁判所に出頭できなかったり、DVなどがあり、当事者が出頭することに危険がある場合など、内容は当事者の合意であるが、形式的に裁判所の決定の形にして、離婚や条件を法的に成立させために審判離婚の手続きにすることがあります。

または、当事者間でほぼ合意に達しているが、ほんの些細なことや感情的な理由で合意が出来ない場合、だけど、殆ど合意が成立しているので調停不成立にするのももったいないという場合、裁判所が当事者間の合意に近いものをベースに決定を出すということがあります。

この審判離婚は、審判日を受け取った日から2週間以内に当事者のどちらかが異議を申し立てすると、審判離婚は無効になります。その場合、引き続き離婚を希望する当事者は、離婚訴訟を提起する必要があります。

4裁判離婚(離婚訴訟)

調停で当事者での話し合いで離婚の合意が出来ない場合は、調停は不成立で終了します。引き続き離婚を希望している当事者は、離婚訴訟を提起する必要があります。

調停を経ないでいきなり離婚訴訟を提起することは原則として出来ません(調停前置主義)。もし、調停を経ずに離婚訴訟を提起したら、調停に回され(付調停)、結局、調停から始めることになります。

訴訟を提起すると、1か月から1か月半に1回の程度で裁判期日が入ります。その間、お互い主張をして争点を整理したり、養育費のための収入資料提出、財産分与のために双方名義の財産資料開示などの作業をします。相手が必要な財産資料を開示しない場合は、調査嘱託等裁判所を通じた手続きで金融機関等に対して直接開示を求めます。

親権について争いがある場合は、裁判所の調査官による監護状況の調査が入ることもあります。

争点整理、財産資料を含む書証(書類の証拠)の提出がひと段落ついたら、本人尋問を実施します。

途中、裁判官が和解(話し合いでの解決)の試みをすることが多いですが、和解が出来ない場合は、判決となります。

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この記事を書いた人

弁護士髙木由美子

2000年10月 弁護士登録(第一東京弁護士会所属:53期)。
弁護士登録以降、離婚・国際離婚などの家事事件を中心に扱い、年間100件以上の相談を受けてきました。ご依頼者がベストな解決にたどり着けるためのサポートをすることは当然として、その過程でもご依頼者が安心して進めることが出来るように心がけています。
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