夫が国家公務員、地方公務員、私立学校教職員

給与が安定し、様々な福利厚生が充実している公務員(国家公務員や地方公務員、私立学校教職員を含みます)と離婚する場合、民間会社の会社員等、他の職業についている夫と離婚する場合に比べて、財産分与の際して、多くの財産を確実に獲得できる可能性が高いです。そのような状況を最大限に生かして、離婚後の生活がより安定したものになるように進めましょう。

1 共済組合の貯金

アルバイトや契約職員などではない正規の公務員は、皆共済組合に加入しています。

また、民間企業の社内預金に相当する共済貯金をしています。共済貯金は、民間の金融機関よりも利率が良く、公務員は、そこにコツコツ貯蓄をしている方が多いです。積み立て貯金の場合は、給与から天引きで貯蓄しますので、通常、給与明細を見ると、共済積み立て貯金をしているかどうかが分かります。

2 共済保険

公務員の夫が共済保険に入っている場合もあります。解約した場合の解約返戻金がない場合と解約返戻金がある場合がありますが、解約返戻金がある場合のみ財産分与の対象になります。

3 退職金

原則として、退職金が財産分与の対象になるのは、退職の時期があまり先ではなく、退職金が支給されることが確実な場合です。

しかし、公務員の場合は、勤務先が倒産することもないので、退職金の支給は確実です。そのため、退職の時期が10年以上先であっても、退職金の財産分与が認められることが多いです。

別居時に退職したと仮定した場合の退職金額の婚姻同居期間相当額が婚姻財産として、2人で分けることになります.

4 財産資料開示を拒否した場合

共済貯金も、共済保険も退職金も基本的に夫が自ら共済組合から明細を取得して、裁判所に提出するなどをすることが多いです。

もっとも、共済貯金も、退職金も金額が高い場合が多く、開示すると高額な財産分与をしなければならないと考えて、開示を拒否することもあります。その場合は、裁判所に調査嘱託の申立を行い、裁判所から直接共済組合に資料の開示を請求することになります。

5 年金分割

年金分割も忘れないようにしましょう。

以前は、共済年金は、厚生年金と別個のもので、共済年金の期間と厚生年金の期間をある場合は、両方の分割手続きをする必要があり、若干複雑でした。

しかし、平成27年から、共済年金も厚生年金と一体となったので、厚生年金の年金分割だけをすれば、共済年金の分割もしたことになります。

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この記事を書いた人

弁護士髙木由美子

2000年10月 弁護士登録(第一東京弁護士会所属:53期)。
弁護士登録以降、離婚・国際離婚などの家事事件を中心に扱い、年間100件以上の相談を受けてきました。ご依頼者がベストな解決にたどり着けるためのサポートをすることは当然として、その過程でもご依頼者が安心して進めることが出来るように心がけています。
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